長崎の探鳥地

1 佐 護


環境

国境の島対馬、その中でも佐護のある上県町北西部は、韓国まで 49kmと島内で最も近く、空が澄んだ日には韓国を間近に見ることができる。 また、佐護平野は対馬最大の穀倉地帯としても知られており、古い遺跡が多く、 早くからここでは稲作が行われていたことがうかがえる。
なお、海に面した湊地区では主にワカメなどの採取に使用されていた藻刈り舟 (ゼーモク舟)と呼ばれる杉の角材を7本組み合わせたイカダ舟が残されている。

みどころ

佐護を特徴づける季節としては春がある。特にゴールデンウィークの頃ともなると以前は対馬に多くのバーダーがつめかけて来ていた。そして、その多くが 佐護を訪れた。近年、対馬に匹敵する探鳥地が全国で開発されたためか、ほとんどバーダーを見かけなくなった。また、対馬の中でも、新しく開発された場所が増え、以前は、有名だった舟志や田の浜、佐護などは閑散としている。
 それでも、佐護は、一級の探鳥地であることに変わりはない。対馬最大の平野には、2月になると早くもマナヅルの北帰行が見られる。さらに、3月になるとナベヅルの大群と、それにしばしば混じるクロヅルの姿が。そして、ヤツガシラが見られるようになる。4月、5月はセキレイ類が多く見られ、キガシラセキレイもしばしば記録される。サギ類には、アカガシラサギやカラシラサギがよく混じっている。
 秋も見逃せない季節だ。近年、ハマヒバリが観察され、ノドグロツグミやズグロチャキンチョウ、ユキホオジロ、ベニヒワ、シベリヤジュリンも見られている。さらに、ガン類は毎年のように観察される。
 冬は、オジロワシやオオワシが見られる季節だ。大陸に近いせいか、カタシロワシやクロハゲワシの記録もある。海に目をやると、ウトウやシノリガモが度々見られている。とはいえ、寒さの厳しい対馬は、種類も数も少ない。しかし、ヤマヒバリなど、ここで見られた希少な種類もいるので、まだ見ぬ大陸からの訪問者を探したりするのも一興かなと思う。

交通

厳原町のバスターミナルから対馬交通バスの比田勝行きに乗車し、 対馬空港経由約2時間で佐護下車。徒歩約30分またはタクシー5分。
上対馬町の比田勝フェリー乗り場から対馬交通バスの厳原行きに乗車し、約30分で 佐護下車。




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