長崎の探鳥地
18 諫早湾
環境
有明海西岸に位置する諫早湾は、北側の多良岳と南側の
雲仙岳との間にはさまれたほぼ長方形の面積約100平方キロメートルの
内湾である。
湾内の干潟は泥質で有機物を多く含んでいて、ムツゴロウ、ワラスボ、
アゲマキ、ウミタケなどが生息し、また、干潟は波浪から遮断された穏やかな
場所であるため鳥たちにとっても恰好の休息地であると同時に採餌の場所でも
あった。
しかし、1997年4月14日、高来町と吾妻町の間を全長約7キロメートル
の潮受堤防によって締め切られ、およそ3000ヘクタール(30平方キロ
メートル)の貴重な干潟は消滅した。
現在、諫早湾での探鳥場所は、著しく減少してしまったが、北部では高来町
湯江の境川河口、内陸部では小野島干拓地や森山干拓地、本明川及び半造川、
南部では吾妻町牛口付近などとなっている。
みどころ
高来町の境川河口では、干拓工事以前から定着していたアカアシシギ
を現在でも見かけることができるし、コアジサシの姿も見られる。
本明川や半造川の河川敷の葦原では、オオジュリン、ホオアカ、ノゴマ、コヨシキリ、
ホオジロ、ツリスガラなどの冬場の小鳥類やチュウヒ、チョウゲンボウなどの猛禽類等を
観察できる。
小野島干拓地や森山干拓地では、セイタカシギ、エリマキシギ、タカブシギ、タマシギ
などのシギ類のほか、ノビタキ、セッカ、オオヨシキリ、セキレイ類などが観察できる。
また、ナベヅルやマナヅルが越冬することもある。
干拓予定地の水際には、ハマシギ、ダイゼンなどのシギ・チドリ類、ズグロカモメや
ユリカモメなどのカモメ類、ツクシガモなどのカモ類を見ることができる。
残念なのは、5〜6月の繁殖期を除いて、1年のほとんどをこの諫早の干潟で生活していた
200〜300羽のダイシャクシギや、南半球からの渡りの途中で必ずこの地で羽を休めていた
ホウロクシギの姿が激減してしまい、その姿を見ることができなくなったことである。
昨年末から年明け頃は、オオモズがこの一帯で姿を現し、ウォッチャーを喜ばせたという
ニュースもある。
吾妻町の牛口付近では、シロチドリなどを観察できる。
交通
JR諫早駅前のバスターミナルから県営バスまたは島鉄バスの
島原か小浜方面行きのバスに乗車して約20分の森山かその前後のバス停で下車。
そのまま海の方へ徒歩約15分。