オシドリってどんな鳥? |
A.オシドリは、昭和41年に県民鳥に指定された長崎県のシンボル野鳥です。
ガンカモ目ガンカモ科で、全長は43〜51cmです。長崎県では秋から冬にかけて見られる鳥です。習性は地上や水面で主として植物質の餌をとり、木にとまることが多く、巣は樹洞に作ります。
雄は美しい複雑な色彩斑紋をしていて、後頭の羽毛は冠羽状になり、銀杏羽と呼ばれる羽があり、数ある日本の鳥の中でも最も美しい鳥の一種です。
県下一斉オシドリ調査について |
日本野鳥の会長崎県支部では、県民鳥オシドリを県民に広く啓発し、理解していただくとともに、オシドリの生息地分布と生息数及び生息環境等の状況を把握し、自然環境保全に貢献することなどを目的として、1999年から毎年、県下各地で一斉調査を実施しています。
オシドリは、常緑広葉樹を構成するカシ類(アラカシ・シラカシなど)、シイ類(スダジイ・コジイ) などの実(どんぐり)などを越冬期間中には主食としています。そのような関係で長崎県における越冬地は、アラカシ、
スダジイ、コジイなどの自然林のある環境で、溜池、貯水池、河川、波の静かな入江の海岸など岸辺の水面がカシ類・ シイ類で覆われている場所に生息しています。したがって、「県民鳥オシドリ」を保護するためにはこのような自然
環境の保全が重要です。
2025年県下一斉調査結果 |
2025年1月19日(日)、対馬市を除く県下122ヵ所を会員34名と壱岐自然塾2名の協力を得て調査を実施しました。生息が確認できた場所は、69ヵ所でした。生息数は、雄874羽、雌497羽、未分類1,865羽、総数3,236羽で、2016年以来の3,000羽超えの確認数となりました。生息数が100羽を超えたのは、平戸市・阿奈田ダム1,500羽、佐世保市・江楯池112羽、長崎市・川原大池107羽の3ヵ所で、前年より3ヵ所減となっています。
地域別では、壱岐市316羽、五島市75羽、平戸市1,507羽、佐世保市619羽、松浦市25羽、北松浦郡7羽、東彼杵郡358羽、西海市21羽、西彼杵郡63羽、大村市5羽、諌早市0羽、長崎市240羽、雲仙市0羽、南島原市0羽となっており、生息数は県北部で多く、県南部では少ないという結果でした。
1999年以降の県下一斉調査の概要 |
調査の開始から27年間、会員の地道な活動として継続されていて、貴重な記録が蓄積されてきています。1999年から2025年までの記録を集計しました。
調査は、毎年1月第2日曜日を基準日として、27年間では1月7日から20日の間で実施されました。
調査に当たったのは、会員の平均31名(最多41名、最少21名)で、延べ調査参加者数は平均111名でした。参加が少なかった年は、積雪で調査ができなかった所があったことなどです。
年次別生息確認数の推移 |
長崎県下におけるオシドリ生息数の推移
27年間での年平均個体数は、2,864羽(標準偏差1,225羽)で最多数6,555羽、最少数1,383羽となっており、年較差が大きいことが分かります。
このうち、雄は平均個体数1,409羽(標準偏差547羽)、雌は平均個体数1,013羽(標準偏差497羽)で、雄雌の割合は雄49.2%、雌35.4%(雌雄の未分類個体15.4%)、雌雄比は雌に対して雄が1.39倍となっています。
もう一点注目していただきたいのは、2009年から2014年までの間は、それ以前に比べて急激な観察数の減少が見られます。調査地点数は変わらないか、むしろ多くなっていますので、飛来数が減少しているのは確かです。何らかの環境悪化が考えられます。ただし、2016年は3,000羽を超える数を確認しており、2015年から2016年にかけ回復基調かと期待されました。しかし、直近5年間の平均観察数は2,525羽です。2025年の調査では3,236羽でしたが、今後も3000羽レベルを回復していくのか、見守っていく必要があります。
生息確認箇所数の推移 |
長崎県内のおもなオシドリ生息地点
最 後 に |
一方で、県内の約150箇所以上で生息が確認されており、大切な越冬環境が数多く分布していることも、改めて認識することができました。
今後とも、オシドリの生息状況がどのように変化していくのか、見守っていく必要があると思います。また、12月に沢山いた場所でも調査時点での1月には、かなり減少していた場所もあるなど、不明な事柄もまだまだあります。オシドリが生息できる環境や生息数の維持のためにも、長崎県支部の活動として、是非、継続し成し遂げていきたい調査活動です。